sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「みーちゃん……わたし」
ダメだ……どうしても、みーちゃんの前だと気が緩む。
張り詰めていた緊張が解けて、隠していたはずの本心が胸の中でふくらむ。
ずっと、自分に言い聞かせていた。
詠吾さんに惹かれてはいても、まだ完全に好きになったわけじゃないって。
でも、それは自分が傷つかないための建前で、本当は私、とっくに彼のこと――。
私は掃除機を床に落としてみーちゃんに駆け寄ると、ガバッと彼女に抱き着いた。
「私……好き、だったのに……っ。初めて、好きになった人なのに……」
本人には伝えられなかった気持ちを、今になってこんな形で吐露することになるなんて。
みーちゃんは弱々しくすすり泣く私の頭をよしよしと撫でながら話す。
「私もあの書類を見つけたときびっくりしましたよ。お嬢様があの弁護士の方に想いを寄せているのは私もなんとなくわかりましたから、読んでいるうちにどうにも腹立たしくなってきて、旦那様に文句を言いに本社まで行ってきたところです」
「え……お祖父ちゃんに?」
だから、今まで家にいなかったのか……。掃除機を放り出してまで、私のために。
みーちゃん、やっぱり、私はあなたが大好きだよ。
感謝の意を伝えるように、濡れた瞳でみーちゃんを見つめると、彼女は申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「でも、約束もしてないのに社長に会わせられないって、受付であっさり門前払いです。だから話はできませんでした。ごめんなさい」
「ううん……いいよ、ありがとう」
「今夜、帰ってくれば問いただしてやるんですけどねえ……。まったく、昔から女心の分かっていない人なんだから」