sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「あなたたちが前に付き合っていたことは詠吾から聞いてるの。その男、別れたのにしつこいんでしょ? だけど、それを逆手にとれないかと思って、今日はあなたに会いに来たの」
「逆手にとる……?」
「そう。詠吾は強く反対していたけど、それしか方法が思いつかないのよ」
凛さんはそれから、副社長の脱税の証拠をつかむための計画を説明し始めた。
まるでドラマのような話で現実味が感じられなかったけれど、私が協力しなければゆくゆくは会社の危機になるとまで言われたら、引き受けるほかなかった。
だって、私個人の感情と、才門ホテルグループという大会社とを天秤に掛けたら、どちらがより重いものであるのかなんて、考えるまでもないじゃない。
祥平さんには一度セクハラまがいのことをされたから、怖くないと言ったら嘘になる。
でも、私がやらなきゃ、祖父の大切な会社が危機的状況に陥ってしまうんだ。
それだけは、なんとしても避けなくちゃ――。