sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
挑発するように顔をのぞき込まれて、ぎゅっと唇を噛む。
好きでもない人と結婚の約束をするなんて、本心ではしたくない。でも、本当に好きな人は、私をお金を得るための道具としか思っていないような人だ。
切なくなりながらパッとテレビ画面の方を向くと、ようやくCМが明けて、詠吾さんと司会者である関西弁の芸人が、和やかに何か話していた。
『それでは気になる彼女ですが、どんな見た目してはるんですか?』
『……そうですね。髪はストレートのロング。目がくりっと大きくて、少し童顔です』
……ドキ。
なんだろ。違うとは思うけれど、自分のことを言われているようでなんか胸がむずむずする。
『出会いはどこで?』
『うーん。この時間にこういうこと言って平気なのかな……?』
『なになに? 生放送やけど俺が許可したるわ』
『実は彼女とはカラダから始まった仲――』
『ちょ、ちょー待って先生! 今、どえらい爆弾発言しましたよ!』
なにこれ……やっぱり、私のこと、だ。
スタジオが盛り上がりを見せるなか、私の気持ちはずぶずぶ深いところへ沈んでいく。
なにもこんな全国放送で、笑い話にしなくてもいいじゃない。
こんな風に私のことをばかにして、それで出演料をもらうんでしょう? 祖父からの報酬だけじゃ足りないの……?
胸が締め付けられるように苦しくて、膝の上で力いっぱいこぶしを握ると、その上に祥平さんの手のひらが優しく重ねられた。
「ねえ、千那ちゃん。今、綾辻弁護士の前で誓ってよ。……僕と結婚するって」