sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「はい、実は、見てました。だから、電話がかかってきてびっくりして……」
『そうだったのか。驚かせてゴメン。……あのさ、こないだ電話したときに千那の気持ちを聞かせてもらっただろ? ……あの時から、俺の中で決めたことがあるんだ。今日はそれを伝えさせて』
ドクン、と胸が大きく揺れる。
この間の電話……。この胸にあふれる“好き”を伝えた、あの夜のことだ。
あのとき彼も私を好きだと言ってくれたけれど、祖父の部屋で報告書を見つけた後のことだから、当然嘘の告白だとわかっていた。
わかっていたから、つらかった。素直にうれしいと思わないように、自分の心をセーブするのが。
『千那』
「……はい」
そんなに優しい声で、呼ばないでください。どうせまた、うれしい気持ちが胸にあふれるのを、無理やり押さえつけなきゃならないのだから……。
しかし、電話越しの私が必死に感情を殺しているのを知る由もない詠吾さんは、私の心をかき乱す、トドメのひと言を口にした。
『――俺たち、結婚しよう』