sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


さすがはラグジュアリーなホテルのバーラウンジ。お客さんをよく見てるし、対応も早いなぁ、と感心しながらそれを受け取り、目線を上に移動させる。その途中で、ぴたりと私の視線が止まった。

彼の胸元に、きらりと光る小さなバッジがその存在を主張していたからだ。

金色のひまわり……それに中央には銀色の天秤。これはまさしく。


「弁護士、バッジ……」


それに、このスーツ映えする細身の体はもしかして……いや、もしかしなくても。

ほぼ確信に近いものを抱きつつ、おずおずと顔を上げる。テレビの画面越しではわからなかった身長は、百七十五センチ以上はあるだろうか。そして、画面越しよりもずっとはっきり見える、凛々しく端正な顔立ち。


「綾辻さん、ですか……?」

「ああ。ということは、きみが才門ホテルの本社から派遣された方?」


やや高めで甘さのある、艶っぽい声で尋ねられ、一瞬返事が遅れる。

そういえば、テレビでは見た目ばかりに気を取られて喋ってるところはあまり注意していなかったな。まあ、声もやばいくらいイケメンだってことが、今わかりましたけど。

とはいえ、今日は私が主導権を握らなければいけないんだ。綾辻さんのイケメン度に圧倒されている場合じゃない。


「そうです。あの、藤咲千那と申します。お聞きになっているかと思いますけど、私……今夜は一生懸命つとめさせていただきますので」


本当はもっと気の利いたことが言いたいのに、これが精いっぱいだ。

色っぽさなんか皆無だって言ったそばからわかって切ない……。


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