sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
力の抜けた私の手からスマホがストンと床のカーペットに落ちたのと同時に、祥平さんが私をソファに押し倒す。
最後にちらっと見えたスマホの画面がまだ通話時間を記録していて、ちゃんと電話が切れていないのかも、と不安がよぎる。
けれど、こっちから切らなくたって、詠吾さんが切るだろうし、何よりもうそんなことどうでもよくなっていた。
私は相変わらず部屋に漂う、甘ったるいお香の香りを一気に吸い込む。
もともと抵抗する気力もなかったけれど、さらに体の自由がきかなくなる。
これで、いいんだ……私はこれからこの人の妻になるんだから、こういう行為も耐えられるようにならないと。
私は虚ろな瞳で、祥平さんが服の中に手を入れるのをぼんやり眺める。
身体も心も何も反応していないけれど、抵抗しないことに気をよくしたのか、祥平さんが愛しそうに目を細めて私の頬を撫で、交換条件だった例の件について、話してくれた。
「……ありがとう、千那ちゃん。副社長の大事な“裏帳簿”は彼のオフィスの金庫の中だよ。暗証番号は確か、彼がずっと引きずっている恋人の誕生日……だったかな。男って本当に、未練がましい生き物なんだよ」
今にも泣き出しそうな表情でそう語ると、祥平さんはゆっくりと私の唇に自分のそれを重ねた。