sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


……瀬川って、副社長のことだよね。まるで凛さんは彼のことをよく知っているみたいな言い方だけど、二人には何かつながりがあるのかな。

祥平さんも何か思うところがあったらしく、眉根を寄せて凛さんに尋ねた。


「もしかして、きみが副社長の……?」

「……ええそうよ。だからあなたがさっき話していた金庫の暗証番号もすぐにわかるわ」


自信にあふれる凛さんの言葉に、祥平さんの顔色が変わった。


「金庫って……なぜそれを」


私も同じことが不思議だった。だって祥平さんが金庫のことを話した時、この部屋には私たちしかいなかったはずなのに。

凛さんはふふっと微笑んで、短く答える。


「私、綾辻弁護士とはお友達なの」


どうして今、詠吾さんの名前が? そういえば、あの時は彼と電話をしていたんだっけ。でも、すでに彼との通話は終えていたのに――あ。

私はある予感からパッと床に手を伸ばし、落ちていたスマホを拾い上げる。そのディスプレイには思った通り彼の名と、通話時間の記録が表示され続けていた。

じゃあ、詠吾さんは全部聞いていたんだ。そして今もこの電話の向こうにいて……彼は何を思っているだろう。


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