sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「くそっ……」
祥平さんは吐き捨てるように呟き、両手で頭を抱えた。
その一瞬の隙に、凛さんが私をソファから下ろして祥平さんから離れさせる。
「ちょっと貸してね?」
未だつながったままの電話を私から受け取った凛さんは、電話の向こうにいるであろう詠吾さんに呼びかける。
「もしもし詠吾? 彼女は無事よ。これから家に送り届ける。……うん。わかった」
詠吾さんは何と言ったんだろう。凛さんの話を聞いていると、詠吾さんも今回の件の協力者。
つまりあのプロポーズも全部、祥平さんに口を割らせるための策……? だとしたら私はまた、彼に利用されていたということだ。
いったいどれだけ私の心を弄んだら気が済むの?
もやもやしたものを抱えていると、凛さんがスマホを私の手に返す。通話はすでに切れていて、そのことにまた傷ついた。
……私が無事だという事実さえわかれば、本人の声を聴くまでもないんだ。
俯く私の肩を抱き、部屋を出ようとする凛さんが去り際に言う。