sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「……じゃあ岡田さん。今日のところは帰るけど、すぐにでも強制捜査が入るわ。証拠隠滅なんてばかなことは考えないことね。あぁあと、これ返しておかないと」
凛さんが目を向けたのは、私の左手薬指でにぶく光る指輪だ。
ゆっくり回転させながらそれを引き抜いた凛さんは、放心したようにうなだれる祥平さんに向かって思い切り投げつけた。
それは祥平さんの肩あたりに見事命中し、かすかに顔を上げた彼が恨めし気に呟いた。
「藤咲千那……“婚約破棄”で訴えてやる」
彼の目は血走っていて、ぞくりと恐怖が走る。
単なる負け惜しみや捨て台詞なんかじゃなく、本気で訴えられてしまいそうだ。
どうしよう……一度は指輪を受け取ってしまったし、私は彼との婚約を承諾して、それを勝手に破棄したってことになるの?
胸にみるみる不安が広がるけれど、凛さんは祥平さんの言葉を無視して私を連れ彼の部屋を後にした。