sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


「私が詠吾にあっさり振られたことを伝えても、瀬川の変な対抗意識はなくならなくて、弁護士としていろんな分野で活躍する詠吾を妬んでいたの。ここからは私の勝手な予想だけど、脱税の件も、詠吾より稼いでる自分、というのを無理に作り上げようとしたんじゃないかな……本当にばかよね」


口では罵りながらも、凛さんの瞳には、元恋人としての情みたいなものが滲んでいる気がした。

だからこそ、彼の目を覚まさせたくて、悪事を暴くのに必死だったのかもしれない。

副社長との過去を話し終えた凛さんは、言うだけ言ってスッキリしたかのようにふうと息をつくと、今度は私に話を振ってきた。


「聞かれてもいないことをペラペラとごめんなさいね。藤咲さんはどう? あんなにテレビでもてはやされてるような人が彼氏だとやりにくくない? って、一度詠吾に告白した私が聞くのも変だけどさ」


未だに私たちが本物の恋人同士だと思っている凛さんの無邪気さがぐさっと胸に刺さる。

でも、私を助けてくれた凛さんになら、本当のことを話してみようかな。

一度は好きになった相手とはいえ、もともと彼らは幼なじみでもある。

きっと凛さんの方が私よりも詠吾さんのことに詳しいだろうし、“あいつならそういう腹黒いこともやりかねない”とか、私の目を覚まさせてくれる情報を知っているかもしれない。


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