sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


自分の演技力のなさに愕然としていると、綾辻さんは余裕の笑みで私を見据えひとこと。


「期待してるよ」


うう……なんだか、さらなるプレッシャーがのしかかってきた気分だ。

にしても、この人意外と女好きなんだなぁ。普段からモテるだろうに、こういう誘いにあっさり乗ってくるとは。

やっぱり……そういう目的があるから、だよね。

今さらながら、この先にある展開を思うと緊張が押し寄せてくる。


「ところで、それ早く落とさなくていいの?」


綾辻さんにさっきついた服の染みを指摘されて、私は我に返る。


「え? あ、そうでした」


慌ててソファに座り直して、汚れたワンピースの裾をおしぼりでぽんぽん叩く。

でもその部分がほんのり湿っただけで、汚れが落ちる気配はない。


「ダメだろ、そんなんじゃ」

「でも、今はこれくらいしかできないし……」

「貸して」


言われるがままにおしぼりを手渡すと、綾辻さんが長い脚を折って私の前にひざまずく。

ためらいなく伸びてきた手が薄いシフォン素材を隔てて、私の太腿に触れる。

そうして濡れたおしぼりをぎゅっと汚れた部分に押し付けるのだけど、私は周囲の視線を気にしてキョロキョロしてしまう。

初対面の男性をひざまずかせてスカートの汚れ落とさせるとか、どこの女王様だよって感じだよね……。


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