sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


「……彼氏じゃないです。あの人がそう見せかけているだけなんです」

「え? それってどういう意味?」

「詠吾さんは、お金のために私に近づいただけなんです。まだ本人には確認してませんけど、祖父の部屋で見つけた書類に書いてあったんです。私に恋愛させることができた暁には、約束の報酬を支払ってもらうって」

「な、なにそれ! アイツ、最低!」


思いのほか激しく取り乱した凛さんは、急ブレーキを踏んで車を止めた。

幸い後続車はいなかったから周りの迷惑にはならなかったようだけど、凛さんが運転席から身を乗り出し後部座席のバッグからスマホを取り出したのを見て、私は目を白黒させて慌てる。

もしかして、本人に電話するつもりじゃ……。


「あ、あの、凛さ――」


必死に止めようと声を掛けたけれど、鬼のような顔でスマホを操作する凛さんの耳には届かなかった。


「もしもし、悪徳弁護士の綾辻詠吾さん!?」


相手が出るやいなや、凛さんはいきなりケンカ腰で声を荒げた。

そこまで怒ってくれるのはありがたいけれど、私まだ本人の口から真実を聞く心の準備ができてないです……!


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