sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


はむ、と上唇をやさしく啄まれて、半開きになった唇に、舌を差し込まれる。

ちょ、あの、おとぎ話で、そんなキス、いいんでしょうか……?

姫としては躊躇してしまうけれど身体は正直で、気づけば彼のキスに応えようと自分からも舌を絡ませていた。

そのまま、王子様の唇や舌の柔らかな感触を堪能した後、音を立てて離れていった唇が官能的な声をこぼす。


「……朝から積極的だな。てか、起きてるだろ。こら」


窘(たしな)めるような声に、うっすらと目を開く。

夢と同じ、自室のベッドの上。漂うバニラの香り……そして、目の前には苦笑している、王子様の麗しいお顔があって。

ん? なぜ現実に王子様が。王子っていうか、スーツ姿で妙にリアルな色気もあるような。

瞬きを繰り返して、起き抜けで鈍っている脳をなんとか回転させようと試みる。


「おはよう、千那。なにぼーっとしてるんだよ。朝イチで会いに行くっていっただろ?」

「え……と、あの」


そういえば、電話でそんな話をしたような……?

いやいや、いきなり自宅に来るだなんてことは聞いてない! そのうえ、無断で女子の部屋に入るなんてありえない!


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