sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
突然クリアになった思考が、今度はパニックを起こす。
よく考えたら私、寝起きで部屋着ですっぴんでぼさぼさ頭じゃない! こんな眠り姫がいるもんですか!
ガバッと上半身を起こした私は、頭の下にあった枕を持って、向かい合う詠吾さんの顔めがけて思いきり投げつけた。
「で、出てってください! 私、人に会える顔してません!」
枕はばふっと大きな音を立てて彼に命中したように思えたけれど、よく見れば詠吾さんはそれをうまくキャッチしていて、ベッドの空いたスペースに放ってしまう。
「大丈夫だよ、可愛い。朝から襲い掛かりたくなるくらい。まあ半分襲ったけど」
半分襲った……? じゃああのキスは現実だったの!?
「と、とにかく出てってください!」
訴えながら彼めがけて拳を振り上げたけれど、その腕をがしっと掴まれて、簡単に押さえつけられてしまう。
「……ダメだ。今日は千那の誤解を解くまで、絶対に出て行かない」
急に真剣なまなざしが私をとらえて、ドキン、と胸が鳴った。
そういえば、彼は私と話すためにここにいるんだ……。彼の言う誤解というのは、いったい何のことなんだろう。