sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
少しだけ身体を離した彼が、私の涙を指の腹でぐいっと拭って、ばつが悪そうに笑う。
「プロポーズを断られたのはかなりのショックだった。凛に連絡を受けて、あの時間千那が岡田祥平のもとにいるってことは知っていたから、何か事情があるだろうとは思ったけど……」
「……ご、ごめんなさい。祥平さんに、副社長のことを教えてほしければ自分と婚約しろって言われていたんです。詠吾さんのプロポーズも、今この場で断れって。そのことがなければ、私……っ」
訴えている途中で、自分のこれから言おうとしていることに頬が熱くなる。
もしもあの時、詠吾さんの気持ちをきちんと知っていたなら、祥平さんに脅されたりしていなければ……
選ぶ返事は、ひとつしかない。
とても恥ずかしいけれど、今ならそれが言える気がする。
「……私も、あなたと結婚したい。詠吾さんが、好きだから」
ようやく彼の顔を見つめてきちんと告白ができたことに、感極まってふたたび涙があふれる。
「……俺もだよ。本気で千那のことが好きだから、俺の手で幸せにしたい」
愛しそうに目を細めた彼が、再び私を抱き寄せる。温かい胸にくっついた耳に、彼の鼓動が聞こえる。
その力強く速いリズムが、彼の気持ちを表しているようでうれしくなった。
しばらく夢見心地で目を閉じていると、ゆっくり体が背中から倒されて、ぽすんとベッドに沈められた。
目の前には、少し余裕のない詠吾さんの真剣な顔があって、ドキンと胸が鳴る。