sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
恋のABC
欠勤の件は円美さんが上に伝えてくれることになり、電話を終えた私はとりあえず一階の部屋へ降りることにした。
階段を下りていく途中でお味噌汁の香りが漂っていることに気付いて、急におなかが空いてくる。
みーちゃんのお味噌汁って、ちょっと塩分高めなんだけどそれがまた癖になるんだよね。今朝の具は何だろう。
朝食への期待を抱きつつリビングダイニングへ入ると、ちょうどキッチンで料理中のみーちゃんの背中を見つけた。
「みーちゃん、おはよ。今日のお味噌汁は……」
声を掛けながらひょこっと彼女の手元を覗き、ぎょっとする。
まな板の上にあるのは、形をなくすほどに包丁でたたかれた豆腐……だとおもう。とにかく白くて柔らかい山がこんもりしている。
「……ああ、お嬢様。おはようございます」
何か考え事でもしていたように反応が遅れたみーちゃんがのんびり挨拶をするけれど、その脇ではみそ汁の鍋が沸騰している最中。
「っていうか、吹きこぼれそうだし!」
コンロの火をカチッと止めて、どこか上の空の彼女に尋ねる。
「どうしたの? 具合でも悪いの?」
みーちゃんは包丁おいて、はあ、と息をつく。やっぱりどこか悪いんじゃ……。