sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「それに、七十代といえど私もまだ心は乙女です。あのわかりにくいプロポーズを受けたときには年甲斐もなく胸がきゅぅぅんとして、血圧があがりましたよ。まあこの歳ですから、今朝の千那さまと綾辻弁護士さまほど熱く交わることはできませんけれど……」
にやりと意味深な笑みを向けられ、私の顔が沸騰する。
そういえば、みーちゃんあの時部屋の外で聞き耳立てていたんだっけ。でも“熱く交わる”って、なんか誤解してる!
「あ、朝はそこまでのことはしてないもん!」
「まあまあそれは失礼しました。でもBくらいはしちゃってるようなお声がドアの向こうから……」
「び、びーってなに!?」
「あら? 今の若い方はそんなことも知らないのですか?」
驚愕するみーちゃんに、恋のABCについて詳しく教えてもらった。だけどなんだかそんな隠語を使う方が恥ずかしいような気がするし、実用的じゃないみたい。
詠吾さんとはそんな順序もすっ飛ばしてCから始まった仲だけれど、気持ちの通じ合った今、改めて彼とのCについて考えるとドキドキして死にそうだ。(実用的じゃないとか言いつつ結構気に入ってる)
でも……私、そのまえにやりたいことがある。
それを終えるまでは、Cもそうだし婚姻届けを埋めるのもストップだ。
今まで恋ができなかった私に、恋を教えてくれた人がいる。
その人が、やっと私に勇気をくれたんだ。
ずっとずっと、会いに行かなくてごめんね。
報告したいことがたくさんあるの。紹介したい人もいるの。
だから、待っててね。
――お父さん、お母さん。