sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「ダメっ! みーちゃんにはお祖父ちゃんがいるでしょ!」
慌てて二人の間に割って入ると、両脇から盛大な笑い声がして、私は左右に首を動かす。
も、もしかしてからかわれた……?
むくれる私に構わずひとしきり笑った二人は、それからこんな会話をしていた。
「お嬢様がここまで必死になるなんて、本当に初めてのことなんですよ。幸せにしてあげてくださいね」
「……ええ。必ず」
今度は急に真面目モードで頷き合う二人。
今、結構うれしいこと言われたような気がする……。私は膨らませていた頬から空気を抜き、照れくさくて俯いた。
みーちゃんがこの場を離れ、炎天下のなか私と詠吾さんの二人きりになると、急に気まずさが襲ってきて何を話したらいいのかわからなくなる。
「千那」
「は、はいっ!」
緊張のあまりどもり気味に返事をした私にクスクス笑って、詠吾さんが私の手を取る。
久々に触れた肌のぬくもりにドキッとして、みーちゃんの言っていたようなことを意識してしまう。
確かにこの一週間、私たちは恋人らしいことをしていないけれど……詠吾さんは我慢しているのかな?
胸が早鐘を打つのを感じながら、彼の横顔を見つめると、彼は穏やかに微笑んでこんな提案をする。
「涼しいところで、ゆっくり話そうか。最近忙しかったから会話が足りてないよな、俺たち」
……そっか。そう言われればそうかも。
いきなりみーちゃんの言うところの“C”に繋がるような話じゃなくてホッとしつつ、私は笑顔で頷いた。