sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
詠吾さんはあまりの幸せに涙ぐむ私に優しく口づけをして、甘くかすれた声でもう一度問いかけてくる。
「千那……これでもまだ、愛の存在を信じられないか?」
愛……軽々しく口にできる言葉ではないけれど、それってきっと。
あなたを瞳に映しながら全身であなたを感じている今、この胸にあふれるあたたかい気持ちのことなのかもしれない。
かけがえのないこの想いは確かに、好き、のひとことじゃ、伝えきれない。
「愛……して、ます……詠吾さん」
汗ばむ背中にぎゅっとしがみついて告げれば、吐息のかかる距離で私を愛しそうに見つめた彼も、同じ思いを告白してくれる。
「俺もだ……千那。愛してるよ」
言葉にすればますます想いは募り、私たちは何度も愛を囁き、お互いを求め合った。
いつしか窓の外の景色は夜景に変わっていて、初めての夜に見た光景に似ていた。
だけど今夜の方が美しく見えるのは、自分自身の心の景色が、あのときとはまるで違うからだろう。
「ありがとう、詠吾さん……こんなに素敵な気持ちを教えてくれて」
疲れ果てて先に眠ってしまった彼の腕の中でそっと呟き、心地よいぬくもりとバニラの香り包まれながら、私も目を閉じる。
けれど、眠るのがもったいない気がしてしまって、なかなか寝付けなかった。
私が初めて愛を知った、大切な夜だったから。
いつまでもこの幸せを、噛みしめていたかった。