sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


「本当に、王子様みたいです。詠吾さん、……だいす、」


言葉の途中で顎に手を添えられ、くい、と上を向かされた。

「き」の文字は、彼の唇に阻まれて声にならなかったけれど、心の中で何度も伝える。

大好きです、詠吾さん。ずっとそばにいて。私を離さないで。

すると、甘い余韻を残して離れていった唇が、今度は私の耳元でささやく。


「……伝わったよ、千那」


そして背中に回された逞しい腕が、私を強く抱き寄せた。


「俺がきみを離したりするわけがない。これから俺の一生を捧げてきみを愛し、そして守り抜いて見せるから……千那も、ずっと俺のそばにいて」


じわっと浮かんだ涙を彼の胸に押し付け、私は何度も頷いた。


彼との出会いがなければ、私の人生はきっと、味気なく、寂しいものだっただろう。

誰かを大切に想うことの素晴らしさも知らず。

同じくらい想われる幸せだって、感じることもなくて。


だけど、これからはいつもあなたと一緒。

手を取り合って、ひとつひとつ未来への扉を開いて行けば、そこにはきっと。

愛にあふれた、砂糖菓子のような甘い日々が、私たちを待っている。








END







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