sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
だからたとえ恋愛感情がなくても、この人とならずっと一緒にいてもいいかなぁと、ぼんやり思っているのだけど……。
「あ。千那ちゃん、ちょっとテレビ見て」
祥平さんに言われて、ほぼ興味を失っていたテレビ画面に再び注目する。
そこでは【スーツの最も似合う男性有名人】のグランプリに輝いたらしい男性が、マイクを向けられて挨拶をしているところだった。
あわせて画面の端に、彼の名前と年齢が載っている。
「綾辻詠吾(あやつじえいご)、二十八歳……誰この人。見たことないけど俳優?」
「違うよ、たまにテレビにも出てる有名な弁護士先生。ちなみに、千那ちゃん的にはタイプ?」
うーんと唸って、改めて綾辻という弁護士を見る。
テレビだから身長はよくわからないけど、全体的にシュッとした細身の体形で、さすがスーツの似合う男グランプリって感じだ。
きれいに後ろにまとめあげた黒髪は、大人っぽくかつ清潔感もあって。その下の凛々しい眉、目力のある二重の瞳、尖った鼻、賢そうな薄めの唇……。
うん、完璧なイケメンであることは間違いない。
「私、タイプとかあんまりないけど、この人は非の打ち所がないね」
とはいえ、テレビに出ているような人だ。私の評価なんか必要としてないよ。
そんな他人事の気分でいたら、祥平さんが変なことを言いだす。
「じゃあ、この人と寝られる?」
私はぽかんと口を半開きにした後で、ふっと苦笑する。
「……なにそれ? 祥平さん、あっちにも選ぶ権利あるよ」