sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


「……男を好きになれないからって、キスは嫌いじゃないみたいだな」


唇を離し、意地悪な笑みを浮かべた綾辻さんに言われると、なんだか自分がすごくふしだらな女であるような気がして、恥ずかしくなる。

今のは、綾辻さんがすごく、その……キスが上手いから、なし崩し的に展開を受け入れただけであって。

気まずさに負けて視線を彼から外し、唇をきゅ、と噛んでそんな言い訳を胸の内だけで呟くけれど。


「アンタ、たぶん無自覚の方が色気あるよ。今の顔……やばい。ちょっと、火ぃついた」


上擦った声がそんなことを言ったかと思うと、本格的にベッドに押し倒されて、再びキスの嵐が降り注ぐ。

唇だけでなく、頬やまぶた、そして耳から首筋へと降りていく濡れた感触に、思わず吐息交じりの声が漏れて、身を捩った。

今の私のこの状態って、任務をまっとうしている……ってことになるのかな?

綾辻さんは、才門ホテルグループの社長の孫に手を出している。自分自身の目が現在進行形でそれを見ているのだから間違いない。

でも、綾辻さんはこちらの事情を全部知ったうえで、わざと罠にかかってくれている。……いったい、なぜ。

それに私はこのことを、祥平さんや副社長にどんなふうに報告したらいいの……?


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