sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
あまりに凄まじい快感に戸惑っている私に、綾辻さんはこんなことを聞いてくる。
「……千那。今、俺に対して何か特別な感情ある?」
こうして体を重ねているのに首を縦に触れない私は、やっぱりなにか欠落しているんだと思う。
でも、綾辻さんはそれをわかっていて私を抱いているのだから、きっと正直に言えばいいのだ。
「な、にも……」
「そう。じゃあ今日がゼロとして……これから徐々に千那の心に入り込みたいと思ってるんだけど、いい?」
シーツの上で絡ませている指にキスをしながら、綾辻さんが私の瞳をのぞき込む。
私の、心に……? そんなのどうやって? それに私たちの関係って、今夜が最初で最後じゃないの?
「いい、って、言われて、も……」
返事をしている最中も腰の動きを止めない彼のせいで、言葉がとぎれとぎれになってしまう。そんな質問をされても困ると、ハッキリ伝えたいのに……。
「……まあダメって言われても、俺が千那を気に入っちゃったから同じことだけど」
とろけるような甘い声で囁かれて、私は不思議に思わずにいられない。
なんで……綾辻さんは、私を……?
そりゃ、こんなに容姿端麗で頭もよくて弁護士としても成功しているハイスペックな人に愛されるなんて、普通なら人生バラ色って感じだろう。
でも、私はあなたが与えてくれるだけのものをきっと返せない。私になにか期待するだけ無駄なのに……。