sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
混乱してパッと振り向くと、昨晩は色気たっぷりに乱れた綾辻さんが、シャツにネクタイを締め、あとはジャケットさえ着れば出勤できるぞという朝仕様の爽やかな格好で歩み寄ってきたところで。
「朝食のルームサービスを頼んだから、一緒に食べよう。でもその前に、シャワー浴びて来ようか」
そのままぎしっと音を立ててベッドに腰掛け、私の顔をのぞき込んできた。
な、なんでそんな平然とした態度なの。……そういえば彼の来た方からいい匂いはしたけど、私たち決して仲良く朝ご飯を食べたりする関係ではないと思うんですけど。
「あれ、腹減ってない?」
黙ったままの私に、首を傾げる綾辻さん。
いやいや、だから問題はそういうことじゃなくて!
「いつまでもそんな無防備な格好でいられると困るんだけど……朝から触ってもいいってこと?」
「え、あ!」
妖艶な流し目で告げられて、私はようやく現在の自分の姿を思い出す。
慌ててベッドから飛び降りると自分の服や下着をかき集めて身体を隠し、真っ赤になっているであろう顔を俯かせて呟く。
「シャワー……浴びてきます」
「ああ。待ってる」
急いでバスルームに駆け込み、勢い良く扉を閉めるとそこに背中を預けてはあ、と息をついた。
待ってるって何? それに、やっぱりこれから一緒に朝ご飯食べるの……?
スリリングな体験は昨夜限りだと思ったのに、どうやら朝になってもそれは終わっていないみたいだ。
「綾辻さん……謎すぎる」
思わずそんな言葉がこぼれるけれど、私は気持ちを切り替えるためにもとりあえずシャワー浴びることにした。