sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
4.恋の入り口
デートの誘い
祥平さんが副社長と社長に報告してしまえば最後、綾辻さんが顧問弁護士になることはない。
そう思ってすっかり油断していた私の前に、再び彼が現れたのは三日後のことだった。
*
「千那ちゃん、たまには社食なんてどう?」
「いいですね。行きましょう」
昼休みに私を誘ってくれたのは、同じ経理部で私より三年先輩の仁科円美(にしなまるみ)さん。
社長の孫ということで同僚から何かと距離を置かれがちな私に唯一普通に接してくれる、貴重な存在だ。
セミロングの髪を肩下でカールさせた髪型が似合っていて、何よりとても美人。
だけど理想がエベレスト級に高く、いつも男性社員に点数をつけてはこっそり私に教えてくれるというちょっと腹黒い遊びが好きな人でもある。
ちなみに、上司である祥平さんは六十点なのだそう。……なんとなく、納得。
そんな円美さんとやってきたのは、どの部署の社員でも利用しやすいようにとビルのちょうど中央の階に位置する社員食堂。席は二百もあるけれど、いつも満席に近い状態だ。
今日は運よく窓際の席が空いていて、そこで食事を済ませた。
お腹いっぱいの幸福感に包まれながら窓の外の夏空に目を細めていたら、円美さんが隣で頬杖をつきつまらなそうに呟いた。
「あーあ、どこかに百点満点の男いないかなぁ」