sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜

円美さんは婚活パーティーにもがつがつ出かけるタイプで、しかも面食いだとか高収入の相手が希望だということも隠さないらしい。とにかくパワフルで、いつもその武勇伝を感心しながら聞いている。


「うーん……円美さんの言う百点満点ってちょっとレベルがすごすぎるんじゃないですか？」

「そうかなぁ？　顔のいい医者か歯医者かプロ野球選手か御曹司、はたまた異国の金髪王子が私を愛してくれればそれで解決なんだけど……千那ちゃん知り合いにいない？」


あまりに極端すぎる例に、思わず力ない苦笑をこぼす。


「いませんよ。ていうかそれ全人類のうち何パーセントなんだろ……」

「私濃い顔もイケるくちだからアラブの石油王とかでもいいよ」

「だからいませんってば」


こんな円美さんだからかな。恋愛に対して淡白な私でも付き合いやすくて、いつも二人で「恋って何だろうね」と答えの出ない問いを繰り返している。

タイプは違うけど、本気で人を好きになれない似た者同士なのだ。


「理想にかなう人はやっぱいないか……。ん？　ちょっと待って。千那ちゃんあれ誰！」

「あれ？」


円美さんがビシッと人差し指で指しているのは、社食の出入り口。

人の出入りが激しいから“アレ”と言われてもよくわからないけど……と思いかけた刹那、目に飛び込んできたのは、数日前に抱き合った、スーツの似合うイケメン弁護士。

あ、綾辻さんがなんでこんな場所にいるの……!?


「円美さん、あんまりジロジロ見ない方がいいですよ……」


私はぐるん、と慌てて顔の向きを戻し小声でささやく。