sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


「平気よ。私だけじゃなくてみんな注目してるもの。……ねえ、あの人、テレビに出てる弁護士じゃない? あれ、なんか知らないけどこっち来た……ねえ、もしかして私見初められちゃったかもしれない! キャー!」


き、来たって……私のところじゃないよね。こんなに大勢いる中で見つけられてたまるもんですか。

円美さんが肩下でくるんと丸まった髪の毛を忙しく直しながら瞬きの回数を増やしている一方、私は背中を丸めて必死で気配を殺す。

気づくな。気づくな。神様お願い、彼を即刻ここから立ち去らせてください……。

ぎゅっと目を閉じて強く念じたけれど、私が普段信心深くないことを神様はご存じだったようだ。


「千ー那、なに縮こまってんの?」


あっさりと私を見つけた彼が、そう言って肩にぽん、と手を乗せる。

ああ……ばれた。しかもなんで話しかけてくるの? こっち来ないでオーラ出してたでしょ?

綾辻さんの方を恨めしげに振り返り、じとっとした眼差しを送る。

しかし彼の方は意に介した様子はなく、さらりとこんなことを言ってのける。


「こないだは連絡先も教えず帰るんだもんな。これじゃデートの約束も取り付けられないから、そこら中探した」


甘い大人の笑みで言われても、私の眉間には皺が刻まれるばかりだ。

だって、こないだ、とか、連絡先、とか、デート、とか! 意味深発言連発しすぎでしょう!

これ聞いて、周りの人がなんて思うか……!






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