sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


でも、昼間食堂に押しかけて来た綾辻さんの様子を見る限り、祥平さんはまだそのことを祖父や副社長に報告していないみたいだ。

そうでなきゃ、あんなこと言わないよね――。

私は昼間の食堂でのやりとりを、脳裏によみがえらせる。







『千那、週末ヒマ?』

『週末? とくに、予定はないですけど……』

『よかった。じゃあ日曜日あけといて』

『なんでですか』

『デートの誘いに決まってるだろ。詳しいことはあとで電話するから、連絡先教えて』


私はハッキリいやだと断るつもりだったのに、終始怖い顔をしていた円美さんが食堂の紙ナプキンにサラサラと私の携帯番号を書いて、綾辻さんに渡してしまうという暴挙に出た。


『あんな、百二十点レベルの男にデートに誘われるだなんて裏切りもいいところだわ。……こうなったら彼と仲良くなって、私にもハイスペック男子を紹介しなさい』


あとから聞いた円美さんの魂胆はそんな感じで、ええぇ……?と泣きたくなった。

綾辻さんにも石油王のオトモダチはいないと思いますと言いたかったけれど、殺気立つ円美さんに逆らうのは寿命を縮める行為な気がして、仕方なく呑み込んだ。


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