sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
その夜は結局エビフライそっちのけで、みーちゃんの恋バナに聞き入ってしまった。
みーちゃんは二十代の頃、バーで知り合った男性と酔った勢いで一夜を共に過ごし、それから本気の交際に発展。
だけど数年付き合ったのち彼が海外に転勤になり、最初こそ手紙や電話で連絡を取り合ったけれど、そのうちに頻度は減って、自然消滅してしまったそうだ。
みーちゃんは今でも彼のことが心の片隅にあって、『だから自分はこの歳でも独身なんでしょうねえ』と目尻に皺を寄せて笑っていた。
みーちゃんは現在七十代だから、約五十年間同じ人を想い続けていることになる。
私には一生縁のない話だと思いつつ、そんな風に誰かを想えることがうらやましくもあった。
今、自分のそばにいる男性と言えば、あのメンドクサイ弁護士さんだけだし……。
「……結局、電話かかってこないじゃん」
食事と入浴を済ませ午後十時ごろ自室に戻った私は、ベッドに寝ころびまたしてもスマホを眺めてそう呟く。
でも、今日電話すると言ったわけじゃないから、明日以降にかかってくる可能性もあるよね……にしても、なんで毎日あの人からの連絡の有無を気にして過ごさなきゃならないんだ。
はあ、と深いため息をついて、ごろんと寝返りを打った時だった。
手の中のスマホがいきなり大きな音を響かせ、電話の着信を知らせる。