sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


「び、びっくりした。知らない番号だけど……あの人、かな」


なぜか飛び起きて正座をした私は、鳴り続けるスマホを凝視した。

電話なんて常にいきなり鳴るものなのに、必要以上に心臓がばくばくしている。

ちょっと千那、綾辻さんごときに何もそんな身構えることはないでしょ。普通に、というかむしろ不愉快気味に電話に出ればいことよ。

そう自分に言い聞かせてからウン、と頷き、おそるおそるスマホを耳に当てた。


「も、もしもし」

『千那? ゴメン仕事が忙しくて遅くなった。今、大丈夫?』


……う。なんだこれ。電話越しの声って、こんなに甘く聞こえるものだっけ。それとも綾辻さんの声がエロ過ぎるのだろうか。

耳元がむずむずするのに耐えながら、そっけなく返事をする。


「大丈夫……です、けど」

『よかった。日曜だけど、東京タワーに行かない?』

「ちょ、ちょっと待ってください。そもそもデートすることに私は同意してませんけど!」


ふう、言ってやった……。自分ではグッジョブ、と思いながら綾辻さんの出方を窺う。


『千那は俺とデートしたくない?』

「はい! したくないです!」

『はは、即答。でもさ、俺はしたいんだ。少しでいいから千那の時間くれないか?』


< 44 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop