sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「び、びっくりした。知らない番号だけど……あの人、かな」
なぜか飛び起きて正座をした私は、鳴り続けるスマホを凝視した。
電話なんて常にいきなり鳴るものなのに、必要以上に心臓がばくばくしている。
ちょっと千那、綾辻さんごときに何もそんな身構えることはないでしょ。普通に、というかむしろ不愉快気味に電話に出ればいことよ。
そう自分に言い聞かせてからウン、と頷き、おそるおそるスマホを耳に当てた。
「も、もしもし」
『千那? ゴメン仕事が忙しくて遅くなった。今、大丈夫?』
……う。なんだこれ。電話越しの声って、こんなに甘く聞こえるものだっけ。それとも綾辻さんの声がエロ過ぎるのだろうか。
耳元がむずむずするのに耐えながら、そっけなく返事をする。
「大丈夫……です、けど」
『よかった。日曜だけど、東京タワーに行かない?』
「ちょ、ちょっと待ってください。そもそもデートすることに私は同意してませんけど!」
ふう、言ってやった……。自分ではグッジョブ、と思いながら綾辻さんの出方を窺う。
『千那は俺とデートしたくない?』
「はい! したくないです!」
『はは、即答。でもさ、俺はしたいんだ。少しでいいから千那の時間くれないか?』