sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


なんなんだこの人……打たれ強すぎて疲れる。そしてやっぱり話しているだけで胃がムカムカしてくる。胸焼けするほどご飯は食べてないはずなのに……もう、なにもかも綾辻さんのせいだ。


「東京タワーに行って帰ってきたら時間の経過は“少し”じゃ済まないないと思います」

『あー、ばれたか。じゃあ正直に言うけど、俺は千那とできるだけ長く一緒にいたいんだ』


うう、胃の不快感がまた増した。よくもまぁそんなに甘い台詞が出てくるものだよね。

きっとこのまま話していても平行線だ。毅然とした態度をとらないと。


「……私は、この電話すら一刻も早く終えたいです」


不快感をあらわにして低い声で告げると、耳元で彼が笑ったらしい息遣いが聞こえた。


『わかった。じゃあ当日、昼前に千那の家に迎えに行くから』

「ちょっと、勝手にそんな約束……!」

『早く切りたいんだろ? じゃあ日曜に』


ぷつっと通話の切れる音がして、あとにはぷ――、ぷ――というむなしい機械音だけが残り、私はしばらく呆然と固まった。


「押し切られてしまった……」


情けない声で嘆き、ベッドに倒れ込む。

憂鬱すぎる。なんで二週連続で貴重な休みをあの人と過ごさなきゃならないんだろう。

家まで迎えに来るって、うちの場所知ってるの?


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