sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
もーやだ。綾辻さんの考えていることが全く理解できない。どうして私なんかにそんな構うの……?
ああもう考えることに疲れた。とりあえず、今日はもう寝よう。
倒れるようにベッドに横になり目を閉じてみたけど、胸の内にいろいろなモヤモヤが渦巻いていつになっても眠れそうにない。
「睡眠すら妨害するとかなんなの」
気分転換に外の風にでも当たろうと、ベッドから降りて窓際に移動する。
そして窓を開けてみたけど、湿り気を帯びた生ぬるい風に頬を撫でられて気分転換どころじゃなかった。
「……はあ。ついてない」
力なくつぶやいて、ぼんやり空を眺める。
すると、見上げた先には見逃してしまいそうなほど細い三日月が浮かんでいた。
……こないだの新月から、ちょうど三日か。
綾辻さんとはあの夜だけの関係だと思っていたのに、なんでデートまでする羽目になってるんだろう。これじゃ当日までまたあの人のことばかり考えて悩まなきゃならない。
私の心の平穏を返してよ……。
三日月にそう頼んだって、願いを叶えてくれるわけもない。
諦めてベッドに戻った私は、羊を数える代わりに心の中で綾辻さんへの悪態をつき続け、そのうち自然と眠りに落ちていた。