sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
……なんで、こんなに腹が立ってるんだろう。
肩で息をしながら、自分で自分が不思議だった。
ジンジン痛む手のひらを見つめて呆然としていると、祥平さんが頬を押さえながら皮肉な笑みを浮かべる。
「……何怒ってるんだよ。千那ちゃんだって僕のことなんとも思っていないのに付き合ってただろ」
う……。その通りなので、私は首を縦に振る。
でも、祥平さんはそれを許してくれる、優しい人でしょ? 大人だし、こういう付き合いでも割り切れる人でしょ?
「……本当は焦ってた。いつになったら本気になってくれるのかって。でも、僕はずいぶん年上だし、きみの上司だし、余裕ぶることしかできなくてさ」
祥平さんは自嘲気味に語ったけど、その目は赤く充血していた。
私……もしかして、この人をすごく傷つけていたのではないだろうか。
愛がなくても平気なのは、私の方だけだったんだ。
祥平さんは、ずっと苦しんでいたんだ。
「ごめんなさい……」
私は子供みたいにしゅんとして、頭を下げるしかできなかった。
「本当は好きだよ」とでも言って、キスの一つでもできれば可愛いのかもしれないけど……祥平さんの正直な気持ちを聞いてしまった今、軽々しくそんなことはできないよ。