sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「……そう、です。セクハラなんて誤解です」
嘘をついている罪悪感がちくちく胸を刺したけど、綾辻さん相手だし知るもんか。
挑むように彼を見つめると、彼は一瞬目を細めて険しい顔をし、すぐに真顔に戻って祥平さんに告げた。
「それは大変失礼しました。でも、あなたが一緒にいる場では本当のことを言わない可能性があるので、ちょっと席を外していただいても?」
祥平さんは“言うなよ”と念を押すように私を一瞥し、私がかすかに頷いたのを確認すると綾辻さんの方へ向き直る。
「ええ、構わないですよ。では僕はこれで」
よっぽど私を信頼しているのか祥平さんは呆気なく部屋を出ていき、パタンと扉が閉まると今度は別の緊張が急激に襲ってきた。
あ、綾辻さんと二人きりじゃん……。デートのこと、断るチャンス到来? っていう空気ではなさそう……。
苛立たしそうにがしがしと頭を掻いた彼は、目の前まで歩み寄ってくるなり呆れたように深い溜息を吐いた。