sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
自問自答していると、背後にあるリビング階段のほうで物音がした。
あれ? 祖父は確か朝早くゴルフに出かけたはずで、今この家には、私とみーちゃんしかいないはずなのに。
パッと振り返った先には、そのいないはずの祖父の姿。シルクのパジャマに身を包んだ彼は、小さな欠伸をしながら二階から降りてくる。
「いやあ、久々の休日だからと寝すぎてしまったな。おお、千那もいたのか。ずいぶんとお洒落してるな。これからデートか?」
「おじーちゃん! あれ? 今日は確かゴルフって……」
「ああ、相手方の都合が悪くなって、急きょ中止になったんだ。そうでなくてもこの雨だ。中止で正解だよ」
「そ、そうだったんだ……」
どうしよう。祖父が家にいるなんて計算外だ。
祖父と綾辻さんがはち合わせたら、なんだかすごく気まずい事態になりそうじゃない? それこそ、顧問弁護士が孫に手を出した、的な……。
確かに手は出されているもののそれは私の合意の上だから問題ない。にしても、こういう形で祖父が知るのはよくないと思うんだよね。ちゃんとお付き合いしているわけでもないし。でも、もう約束の時間も迫ってきちゃったよ……。
内心はらはらしていると、ちょうど私のスマホが鳴った。着信の相手はやっぱり綾辻さんで、私はスマホの入ったバッグを手にコソコソ廊下に出た。