sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「そう? まあ何着てても何も着てなくても、千那は可愛いけど」
「昼間から何言ってるんですか!」
“着てなくても”の部分をいやでも意識してしまって、かああ、と頬が熱くなる。
「ああゴメン。じゃあ、夜になったら口説くの解禁な」
意味深にささやかれたのと同時に、助手席のドアが開かれる。
全くこの人は、ふざけているのか本気なのかつかみづらいよ。すでに暴れまくる心臓をなだめながら、シートに腰を滑らせる。
彼は私が乗り込むまでの間中傘をさしてくれていて、私は少しも濡れることがなかった。
「じゃあ、行こうか。雨だからのんびり走ろう」
「……はい。お願いします」
小さく頭を下げてちらっと運転席を見やると、ハンドルを握った綾辻さんの真剣な横顔がある。ただそれだけのことにドキッとした。
車の中という閉鎖された空間だからなのか、いつもより彼の香りを強く感じるし……目的地に着く前に、心臓が疲れすぎて根を上げそうだ。