sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
嫉妬がうれしい?
出発してから一時間弱で、目的地である東京タワーに到着した。
隣接する地下駐車場に車を止め、特徴的な赤い塔脚の下でチケットを買ったら、いざ建物の中へ。
「さて、どこから行こうか」
「え。まずは展望台にのぼるんじゃ」
「それは最後。暗くなってからのほうが綺麗だろうし。千那、お腹は?」
現在時刻は午後一時。朝ご飯の後は何も食べていないから、時間的にはちょうどお腹がすくはずだけど……。
「なんでだろう。全然すいてないです」
お腹を押さえて不思議がる私に、綾辻さんはしたり顔。
「ははーん。俺と一緒にいるから胸いっぱいなんだろ」
「そんなわけ……!」
即座に否定しかけて、さっき自分で掲げた目標を思い出す。
私、今みたいな態度を少しずつ変えたいんじゃなかったっけ。こう、ツンツンした感じじゃなくて、もっと素直に……。
「もしかしたらないこともない……かもですけど」
やっとの思いで口にしたのに、綾辻さんはこらえきれなくなったように吹き出す。
「な、何がおかしいんですか」
「いや、千那がすげえ頑張ってくれたのわかるんだけど、それにしてもまわりくどいなぁって」
「……じゃあもう二度と言いません」
私には私のペースってものがあるんだから、簡単に素直になれるわけないじゃない。
一気に不機嫌になった私は、ぷい、と顔を背けて勝手に歩き出す。