sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「……柚殿。久々に会う友達にそれはないだろ」
めったに見ることのない、綾辻さんの怒りを抑えたような笑みが怖い。
でも、当の柚殿さんは全く意に介していないようで、しれっとしている。
「久々だったか。お前のことはときどきテレビで調子づいてる姿を見かけるからあまりそういう感じがしないな」
「テレビなんて大して見ないくせによく言うよ」
「たまには見るさ。ええと、スーツに着られてるグランプリだったか?」
「わざと間違うな!」
どうやら綾辻さんと柚殿さんは友達らしいけど……あまり仲が良さそうではない。
というか、爽やかな見た目に反して、柚殿さんが毒を吐きすぎのような。
若干引き気味にふたりのやり取りを見守っていると、柚殿さんが円美さんの腰をそっと抱き寄せて言う。
「行こう円美。弁護士なんかと話していても揚げ足を取られて腹が立つだけだ。水族館を出たらカフェでゆっくり天然ガスの可能性について話してあげる」
「はい、柚殿さん。……千那ちゃん、また会社でね!」
天然ガスの可能性……すごくつまらなそうな話なのに、あの円美さんの目がハートになってるとは。すごいな、柚殿さん。
「あ、はい。じゃあまた」
「ちょっと待て柚殿。……頼んでたあの件はどうなった」