sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
後頭部に大きな手が添えられ、至近距離で顔を覗かれる。
私はあまりの緊張で、いいよと答えるのも、ただ頷くことでさえ難しかったけれど、瞳が潤んでくるのだけは止められなかった。
綾辻さんはそれを肯定と受け取って、私の頭をぐっと引き寄せる。
そうして、鼻先がくっつくほどの至近距離まで接近したとき。
「今の千那の気持ち……キスで、教えて」
ほとんど吐息だけの、かすれた甘い囁き。それにドキッとしている間に、下唇をぺろりと舐められた。
くすぐったくて身を縮めたのもつかの間、今度は柔らかい唇が、私の唇に覆いかぶさってきて、ふいに開いてしまった小さな隙間から、舌を差し込まれた。
「ふ、ぅ……」
情けない声が漏れ、緊張していたはずの身体の力が抜ける。
引っ込めていた舌は彼のそれに呆気なく絡めとられて、外の空気に触れた瞬間ちゅう、と吸われた。
息継ぎをしようとしても、角度を変えて繰り返される深いキスのせいで満足にできず、酸欠状態で苦しいのか、それともこの甘い苦しさこそが私の気持ちってやつなのか、わからないくらいに、脳みそが溶けてくる。