sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
近づいて中を覗くと彼は電話中だったので、少しの間部屋の前に立っていた。
すると一分もしないうちに、祥平さんの方が内側からドアを開けて私を呼んだ。
「藤咲さん、お疲れ様。残業のあとで悪いんだけど、今から副社長室に行ける?」
「あ、はい。……副社長室、ですか?」
行けるには行けるけど、なぜ私が副社長室に? 祖父のいる社長室ならまだわかるけど……。
不思議そうな私に、祥平さんは少し気まずそうに目を逸らして話す。
「……うん。副社長がちょっと話したいって」
「わかりました」
なぜ呼ばれるのかよくわからないけれど、そんな偉い人に呼ばれて断れるわけもない。
もしかしたら詠吾さんの件で何か言われるのだろうか。彼を顧問にしたくないのは確か副社長だったよね。
やだなぁ。副社長って一度だけ話したことがあるけど、ちょっと冷たいイメージのある人だったんだよね。何を言われることやら……。
私は重い気持ちを引きずって、エレベーターで最上階の重役フロアへのぼった。