sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
矛盾するキモチ
会社を出て、詠吾さんの車に乗せてもらい彼のマンションがあるという新浦安へ向かった。
車内で詠吾さんはずっと他愛のない話をしてくれたけれど、緊張のせいで会話はあまり弾まなかったように思う。
そんななか、東京方面に向かっておよそ三十分強走れば、夜景の一部となって輝く超高層マンションが見えてきた。
「詠吾さんの部屋は何階なんですか?」
「三十二。けっこう眺めいいよ。舞浜の花火も見えるし」
「えー、すごい。今夜も上がるかなぁ」
特に深い意味はなかったのに、詠吾さんはわざとらしくセクシーな声を出してこんな意地悪をいう。
「今夜の千那に花火なんか見る余裕ないだろ。それとも、窓際でしたい?」
「べっ……別にそういうつもりじゃ!」
「冗談だよ。まあそういう刺激的なのも俺的にはアリだけど?」
「私はナシです!」
ふい、とそっぽを向いた私を、詠吾さんがくすくす笑う。
彼の軽口を真に受けてこんな風にムキになればなるほど、自分と彼との間にある恋愛スキルの差を見せつけられているようで悔しくなる。
そういえば、詠吾さんは過去にどんな恋愛をしてきたのかな。
今から私が行く部屋に、他の女の人が来たこともあるのだろうか。
たぶん、あるだろうな……。