sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「わかった。今開けるから」
やだ。どうしてほかの女の人を家に入れるの? 今夜は、私と二人で過ごすんじゃなかったの?
詠吾さんが何を考えているのか全く分からない。
モニターの方からこちらに戻ってきた彼は、不安げな私の頭にポンと手を置いて軽く微笑む。
「……ちょっと、仕事の話するから、待ってて」
……仕事? それって、自宅でしなきゃならない話なの?
待っててって言われても、どこで? ほかの部屋に引っ込むのも寂しいし、だからといって私には関係のない話だろうから一緒にいても仕方ないし……。
モヤモヤしている間に、もう一度チャイムが鳴った。さっきマンションの入り口にいた凛さんが、部屋の前まで来たのだろう。
詠吾さんは水槽のそばで立ち尽くす私を放置して、彼女を出迎えに行ってしまう。
きりきりと胃が締め付けられるように痛くて、心がとげとげしてくる。
それは、詠吾さんに続いて部屋に入ってきた凛さんの姿を見た瞬間、最大になった。
さっぱりとしたショートヘアのよく似合う、色白の美人。年は詠吾さんと同じくらいで、私にはない大人の色気が漂っている。
綺麗な人……。仕事なんて、本当なの?
一度生まれてしまった猜疑心は黒い染みのように、みるみる胸の内に広がっていった。