sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
「あれ? 詠吾、ちょっと彼女来てるなら先に言ってよ!」
私の姿に気付いた凛さんが、バシ!と詠吾さんの肩を叩く。
その仕草すらなんだか意味深なスキンシップに見えてしまって、心のざわめきがより大きくなる。
「いや、でも凛とも早く話さなきゃと思ってたからさ」
「まあそれもそうだけど……ごめんなさいね彼女さん、私の方はすぐ終わるから」
こっちは黒い感情の嵐なのに、余裕たっぷりに私に微笑みかけてくる凛さんが眩しくて、私は挨拶すら返せず二人のやりとりとぼうっと見ているだけ。
凛さんは立ったままバッグから何かの書類を出し、詠吾さんに手渡す。
「とりあえず今のところの調査結果がこれ。でもまだ証拠がないのよね……。あ、言っとくけどこんなもの弁護士に渡したことがバレたら私やばいんだからね。職を失ったら責任取ってくれるのかしら」
「え。……嫁にもらえってことか?」
「バカ。一度自分を振った相手に興味なんかないわよ」
一度振った……? それは、二人が恋人同士だったということだろうか。
それとも、凛さんが一方的に告白して詠吾さんはそれを断った……?
自分の知らない話をされているうえ、詠吾さんがいつもと違って凛さんに気を許しているようなくだけた表情をしている気がして、自分だけ取り残されたような気分になる。
それに、いちいち詠吾さんの発言に動揺する私と違って、彼と対等に会話をする凛さんのほうが彼にふさわしい女性のような気がする。