【完】天使くん!これは友情ですか?恋ですか!?
天使くんとデートです
* * *
気づけばゴールデンウィークが間近に迫った4月最後の週。
疾風と話をしろと言われて赤飯を食べてから約1週間。風邪は治ったけれど、まだ何の進展もない。
動かない私が悪いとわかっているのだけれど、勇気が出せないという女々しい状態にある。
ずっと避けているわけにはいかず、とにかく春真くんに会おうと決心したその日のこと。
放課後、春真くんと一緒に帰っている時にそれは起こった。
「夏海先輩、ゴールデンウィークはどこかへ行くんですか?」
「今は特に予定ない。家族で一緒に旅行ってのもないしなぁ」
親がこんな時期に長期旅行なんて、理解されない気がして黙る。まあ、涼兄がいるからと思って出かけたんだろうけど。
家事は私がやってるんだよ。そう、高校生なのに働いている。いつから私は兄貴たちのお母さんになったんですか!
「じゃあ、前に言っていたデート。行きませんか?」
「え?」
悲しみに暮れ始めた私の心に、一筋の光が照らす。
「デート……!」
「行きましょうよ」
「……行きます」
こうして私は春真くんとデートをすることになる。
約束をした瞬間から、楽しみすぎて記憶がなくなるくらいに嬉しかった。