【完】天使くん!これは友情ですか?恋ですか!?
「もしかして、夏海……」
「え?」
屈んでジュースを取りながら振り返ったので、自然と足から目に入る。
スラッと長い足、半袖から覗くのは程よい筋肉。顔を見れば、一瞬誰だっただろうかと悩む。
茶髪に染めて、眼鏡をかけている。整った眉に、切れ長の瞳。
ちょっと怒ったような表情で、私はやっとその人物にたどり着く。
「疾風……」
1番会いたくなかった人。1番話さなくてはならなかった人。
兄貴たちの言う通り、疾風がトラウマだから。きっと今も動けないんだ。
「久しぶり」
「久……しぶり」
そう言うのがやっとで、油断すると泣きそうになるくらい怖い。
あんなふうに自分がまた、人を殴るんじゃないかって……。