【完】天使くん!これは友情ですか?恋ですか!?
天使くんに合わせる顔がない
* * *
あっという間に5月が終わり、6月も過ぎ去ろうとしていた。
学校の中庭に咲いていた紫陽花も今は終わって、どことなく初夏の香りがする。
雨上がりの土の匂いや、太陽に照らされて熱気を含んだ草木の匂い。
湿った空気はなくなって、いつの間にかカラッとした夏の空気に変わろうとしている。
私の制服も半袖になって、教室の景色も白くて眩しいくらい。
嫌味なほどに時間が流れていく。
私の髪も肩まで伸びていて、耳に付けたピアスが隠れていた。
でも、そんなことどうでもよかったのかもしれない。
あれから私は春真くんに会っていない。謝ることが出来ないまま。
過去の傷を抉り出されて、疾風の前から逃げ出して、大切な人であると言いながら春真くんを置いてきた。