【完】天使くん!これは友情ですか?恋ですか!?


「先約がいるみたいだから」




 そう雪乃が言って、教室の中を見ろと目で合図する。




「え?」




 まだ授業は始まっていないというのに、なぜ教室が静かなんだろう。女子だけでなく、男子までもが廊下で話をしている。
 疑問だらけだ。



 私を指さして、何か言っているみたい。




「夏海。授業始まる前に、なんとかして」




 雪乃に急かされて教室に入る。



 目に入ってきたのは、私の席に座る男子。その赤い髪に見覚えがある。




「……秋」




 忘れていたわけじゃない。気にはなっていた。
 告白されたあの日に逃げて、それから会っていなかった。



 その後ろ姿を見かければ会わないように避けて、3年が通りそうな廊下やヤンキーたちが溜まりそうな場所は行かなかった。



 私はずっと逃げてばかり。

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