ぼくのセカイ征服
『計画:始動』
ついに『この時』が来た。
僕はずっとこの日を待っていた…1年間もだ。

…おっと!本編に入る前に自己紹介しておかねばなるまい。
僕は『時任 亨』(ときとう とおる)。皆からは『トオル』と呼ばれている。現在、高校2年生。が、ただの高校生と侮るなかれ。僕は、世界を支配する人間だ。
小さい頃に…いや、この話はまた別の機会にするとしよう。
とにかく僕は、特にこれといった取り柄もなく、勉強も運動も人並み。魔法が使えるわけではないし、特殊な殺人術が使える一族の末裔なわけでもない。人を呪ったり出来るわけでもなく、ましてや吸血鬼とか、そういう非現実的でオカルトチックな性質を持ち合わせているわけでもない。
これを聞いて、僕を否定する人がいるかもしれない。「ただの人間が世界を支配するなんて端から無理な話で、夢見がちも甚だしい」と。
確かに、その意見にも一理ある。しかし、それは単なる決め付けにしかすぎない。『力が無ければ世界は変えられない』なんていうのは、弱者になるべくしてなった者の言い訳だ。僕の限界は、僕が決める。だから僕に、不可能はない。(はずだ)

まぁ、そんな事はどうだっていい。とりあえず、高校に入学してからの『僕』という人間は、クラスの皆から疎まれる事もなく、かといって好かれる事もなく、時間と規則に縛られた学校という環境の中で、人との関わりを最小限にして生きて来た。それだけしかして来なかった。それだけしか、出来なかった。思い返せば、長く、そして暗い、日々だった。
しかし。
しかし、だ。
遂にこのユーウツな日々から脱却する日が来たのだ。今日は赤飯でも炊くか。よし、そうしよう!

「おい、トオル!」

これから始まるであろう素晴らしい日々を想像し、感動に浸る僕に、不意に後ろから声を掛ける無礼な輩がいた。
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