ぼくのセカイ征服
「なぁ…お前さ、さっきスケジュールがどうこう言ってなかったか?」
「…!そういえば、そうだったわ。」
スミレは、何かやるべき事を思い出したかのように、ちらっと腕時計を見るそぶりを見せた。特に取り上げる必要もないのだが、スミレは右利きなので、時計は左腕にしている。
いや、これといって深い意味はない。本当に。
「このまま話していたいのもやまやまなのだけれど、それでは塾に遅刻してしまうし…仕方無いわね、下心丸出しの時任君には悪いけれど、失礼するとしようかしら。」
「僕がいつ下心を全開で見せた!?しかも、全然意味がわからないぞっ!?」
まぁ、下心が全くなかったわけでもないのだが。途中、いい匂いだ、とか思ったりしちゃったし。
それにしても、塾、か。さすが、エリートは違う。ひょっとしたら、僕なんかとは、住んでいる世界が違うのかもしれない。
しかし…おそらく、スミレは塾に遅刻してしまうだろう。かれこれ15分くらい、僕がトラブルに巻き込んで、その解消に手間取らせてしまったから。
なのに、スミレ本人といったら、特に慌てる様子も無く、いつもの落ち着き払った調子でああ言う。どうやってあそこまで平静を保っているのか、本当に不思議だ。
しかし、今はそんな事よりも。
スミレを送り出し、その後ろ姿を見送る事が先決か。
なので。
「…スミレ、今日は…色々と、ありがとうな。」
「礼には及ばないわ。それでは時任君、また明日、学校で、ね。」
僕に別れの言葉を告げるとすぐに、スミレは駆け出して行った。スケジュールを狂わせてしまって、本当に申し訳ない。
しかし、礼には及ばない、か。あれだけ要求してきたくせに。
…待てよ。今、「また明日」と言ったよな!?明日も会えるか?会えるのか?確か、アイツは二年一組、僕は二年三組…同じ学年ではあるが、校舎は違う。意図せねば、会う事などないだろう。
まさか…僕を試しているのか?会いに来いと、暗にそう言っているのか?
それならば、行かないわけにはいかないな。スミレとの関係を修復するためにも。
…いや、待てよ、先刻の状況を加味すれば、殺されに来い、という意味かもしれないな…。
ああ、どうしよう。行くべきか、行かないべきか。いや、生きるべきか、死ぬべきか。それが問題…なのかも。まさしく、死活問題だな。
「…!そういえば、そうだったわ。」
スミレは、何かやるべき事を思い出したかのように、ちらっと腕時計を見るそぶりを見せた。特に取り上げる必要もないのだが、スミレは右利きなので、時計は左腕にしている。
いや、これといって深い意味はない。本当に。
「このまま話していたいのもやまやまなのだけれど、それでは塾に遅刻してしまうし…仕方無いわね、下心丸出しの時任君には悪いけれど、失礼するとしようかしら。」
「僕がいつ下心を全開で見せた!?しかも、全然意味がわからないぞっ!?」
まぁ、下心が全くなかったわけでもないのだが。途中、いい匂いだ、とか思ったりしちゃったし。
それにしても、塾、か。さすが、エリートは違う。ひょっとしたら、僕なんかとは、住んでいる世界が違うのかもしれない。
しかし…おそらく、スミレは塾に遅刻してしまうだろう。かれこれ15分くらい、僕がトラブルに巻き込んで、その解消に手間取らせてしまったから。
なのに、スミレ本人といったら、特に慌てる様子も無く、いつもの落ち着き払った調子でああ言う。どうやってあそこまで平静を保っているのか、本当に不思議だ。
しかし、今はそんな事よりも。
スミレを送り出し、その後ろ姿を見送る事が先決か。
なので。
「…スミレ、今日は…色々と、ありがとうな。」
「礼には及ばないわ。それでは時任君、また明日、学校で、ね。」
僕に別れの言葉を告げるとすぐに、スミレは駆け出して行った。スケジュールを狂わせてしまって、本当に申し訳ない。
しかし、礼には及ばない、か。あれだけ要求してきたくせに。
…待てよ。今、「また明日」と言ったよな!?明日も会えるか?会えるのか?確か、アイツは二年一組、僕は二年三組…同じ学年ではあるが、校舎は違う。意図せねば、会う事などないだろう。
まさか…僕を試しているのか?会いに来いと、暗にそう言っているのか?
それならば、行かないわけにはいかないな。スミレとの関係を修復するためにも。
…いや、待てよ、先刻の状況を加味すれば、殺されに来い、という意味かもしれないな…。
ああ、どうしよう。行くべきか、行かないべきか。いや、生きるべきか、死ぬべきか。それが問題…なのかも。まさしく、死活問題だな。