ぼくのセカイ征服
「僕は亨だ。時任亨。時間の時に任せる、えーっと…亨はちょっと例が出しにくいな…京都の京と、享受の享の中間、みたいな…わかる?」
「はい!もちろん、わかりますよっ!これから、よろしくお願いしますっ!と〜る先輩ッ!」
「その呼び方、出来ればやめてくれないか…?何か根源的な苛立ちを覚えるから。」
「え〜!?いいじゃないですか!ツレない先輩ですねっ!まったく。」

お前こそ、ズレた後輩だよ!まったく。さすがに、口に出すのはやめておくが。

「まぁ、僕の呼び方は『と〜る先輩』以外なら、ある程度何でもいいや。別に、呼び捨てでも構わないし。僕は歳で上下関係を築くのは嫌いなんだ。間違っても、様付けとかはやめてくれよ。僕はそんなに偉い人間でもないし。で、それは一先ず置いといて…僕は君を何て呼べば…?」
「何でも構いませんよ!何なら、『犬』とでも。」
「いやいや、それは無いだろ!?自分で自分を過小評価し過ぎだぞ!?」

過小評価、といっても、僕は、決して犬が下賎な存在だ、と言っているわけではないから、そこんところ、勘違いしないでね。犬好きの諸君。

「それじゃあ…『シュン』と呼んで下さい!それと、『君』、というのはやめていただけますか?その他人行儀には好感を持てませんので。」
「あ、ああ。じゃあ、『お前』でいいか?」
「はい!改めて、よろしくお願いします!」
「こちらこそ…。ところで、シュン。僕はお前を家まで送っていこうと思ってるんだが…」
「そんな事までしていただけるなんて、光栄ですっ!」
「いや、頼むから話は最後まで聞いてくれ。その前に、少し寄りたい店があるんだけど…いいか?」
「もちろんですっ!お供させていただきますっ!」

瞬牙は快活に言うと、突然、僕の腕に纏わり付いてきた。

「わわっ!な、何だよいきなり!?」
「ささ、行きましょう♪お店が僕達を待っていますよ!」
「あんまりくっつくなって!」
「え〜!?いちいち注文が多い先輩ですね、まったく。」

お前こそ、いちいち文句の多い後輩だよ、まったく!いくら温厚な僕でもいつかはキレるぞ!

やれやれ…。まぁ、とりあえず、これで一段落、か。本題である『瞬牙を家まで送っていく事』は、案外簡単に達成できそうだな。瞬牙がこれだけフレンドリーなら。もう男達と会う事もないだろうし。
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